種類株式を使った事業承継対策~実践編

(新日本法規出版社-「e-hoki」、内にて連載中)

1.はじめに
前回に引き続き、種類株式を使った事業承継対策を検討します。
実際に種類株式を発行し活用できるかどうかは諸条件によって変わってきますので、会社の状況に当てはめ、本稿では記載しきれていない諸条件まで確認してご判断ください。


2.ケース別種類株式活用法


(1)少数株主を整理したいケース

○ 全部取得条項付株式を活用 
既に相続等で分散されてしまった株主を整理したいケースです。全部取得条項付種類株式という種類株式を発行することができれば、少数株主から強制的に株式を買い取ることが可能です。
なお買い取りにあたっては買い取り金額の交渉は必至ですが、会社法に即して株式を強制的に買い取るという行為が可能になります。


(2)好ましくない株主を排除したいケース

○ 全部取得条項付株式を活用
例:過半数は社長一族が保有しているが、先代からの番頭さんである従業員株主が株式を10%程度所有しているケース。
 「少数株主を整理したいケース」の応用です。全部取得条項付種類株式を活用できれば、好ましくない株主を排除し、経営上の支配力をより強固にすることができます。


(3)将来株式が分散されるのを防ぎたいケース
譲渡制限株式を活用
 定款に株式の譲渡制限を定めておけば、株式を譲渡する場合に会社の承認が必要となりますので、会社に関係のない第三者に株式が渡ってしまう危険性を減らすことができます。ただし相続については譲渡制限の規制はかかりませんので、相続による株式の分散を防ぐためには、下記の売り渡し請求を同時に定めておかなければなりません。


金庫株(自己株式)を活用
種類株式ではありませんが、自己株式を使って将来株式が分散されることを防ぐことができます。
具体的には、会社が相続発生時に相続人から強制的に株式を買い取ることができるという、売り渡し請求権を定款で定めることにより、会社にとって関係のない(経営上ふさわしくない)者へ株式が相続されてしまうのを防ぐことができます(当然ながら買い取り金額をいくらにするかという問題は残りますので、資金面についても事前に準備しておく必要があります)。


(4)事業を承継する息子へ経営権をスムーズに渡したいケース
議決権制限株式(無議決権株式)を活用
剰余金配当優先株式を活用
遺言を活用


 議決権のある株式を後継者へ、議決権のない株式を非後継者へ渡せば、議決権並びに経営権を後継者へスムーズに渡すことができ、一方で財産権については平等に近づけて分割を行うことが可能になります。
 とはいえ財産の分割についての問題は非常に発生しやすいので、非後継者へ渡す株式については、議決権がない代わりに配当を優先して受けることができる「剰余金配当優先株式」にしておくことや、遺留分対策として遺言を行っておくなど、将来の相続発生時に少しでも財産分割について問題が起こらないように事前対策を行っていくことが重要だと考えます。


(5)後継者が成長するまで経営を監視したいケース
拒否権付き株式を活用
 
例:息子である後継者へ経営権を早く引き継ぎたいが、経営面で一抹の不安があり、一部の最終的な意思決定権はまだ自分が持っておきたい場合。

例:血のつながっていないNO2の人間に経営権を引き継ぐ予定であるが、社長就任後の手腕に一抹の不安がある。しばらくの間は経営を監視する意味で一部の意思決定権はまだ自分が持っておきたい場合

 現在の経営者が拒否権付株式を一部保有し続けることで、後継者の経営状況を監視することができます。ただしいつまでも経営に口を出し続け、後継者以下新経営陣の経営を阻害することのないようにしなければなりません。




3.資金の問題
上記のスキームを使うことができれば、株主から株式を強制的に取得することが可能になりますが、当然買い取り資金が必要になります。
買い取り金額は「時価」が原則となりますが、「時価」をいくらとみるかで協議が必要なケースも想定されます。
①「いくらで買い取るか」という問題
②「買い取り資金をどのように調達するか」という問題
も同時に検討すべきです。


4.さいごに
次回は自社株の評価方法について説明します。







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