収用等における各種補償金の取り扱い

1.はじめに
土地・建物を譲渡した場合、値上がり益があれば通常は譲渡所得税等が課せられますが、公共事業のために譲渡し、かつその譲渡が収用等の課税の特例の要件を満たしている場合には、次の課税の特例を受けることができ、結果として譲渡所得税等がかからない場合があります。
・対価補償金等で他の土地・建物に買い替えた時は譲渡がなかったものとする特例
・譲渡所得から最高5,000万円までの特別控除を差し引く特例


2.補償金の区分と課税の取り扱い
 資産が収用等されたことにより交付を受ける補償金には下記の通り各種の補償金があります。これらの補償金は課税上それぞれ下記に記載するように取り扱われ、上記収用等の課税の特例は原則として対価補償金に限り適用があります。

(1)収用等された資産の対価となる補償金・・・対価補償金
対価補償金については、譲渡所得等の金額の計算上収用等の場合の課税の特例の適用があります。

(2)資産を収用等されることによって生ずる事業の減収や損失の補てんに充てられるものとして交付される補償金・・・収益補償金
収益補償金については、その補償金の交付の基因となった事業の態様に応じ、不動産所得の金額、事業所得の金額又は雑所得の金額の計算上総収入金額に算入します。ただし、建物の収用等を受けた場合で建物の対価補償金がその建物の再取得価額に満たないときは、収益補償金のうちその満たない部分を対価補償金として取り扱うことができます。

(3)事業上の費用の補てんに充てるものとして交付される補償金・・・経費補償金
・ 経費補償金のうち休廃業等により生ずる事業上の費用の補てんに充てるものとして交付を受ける補償金は、その補償金の交付の基因となった事業の態様に応じ、不動産所得の金額、事業所得の金額又は雑所得の金額の計算上、総収入金額に算入します。
・ 経費補償金のうち収用等による譲渡の目的となった資産以外の資産(たな卸資産を除きます。)について実現した損失の補てんに充てるものとして交付を受ける補償金は、譲渡所得等の金額の計算上、総収入金額に算入します。
 ただし、事業を廃止する場合等でその事業の機械装置等を他に転用できないときに交付を受ける経費補償金は、対価補償金として取り扱うことができます。

(4)資産の移転に要する費用の補てんに充てるものとして交付される補償金・・・移転補償金
移転補償金については、その交付の目的に従って支出した場合は、その支出した額については各種所得の金額の計算上、総収入金額に算入されません。一方その交付の目的に従って支出されなかった場合又は支出後に補償金が残った場合は、一時所得の金額の計算上、総所得金額に算入されます。ただし、建物等を引き家又は移築するための補償金を受けた場合で実際にはその建物等を取り壊したとき及び移設困難な機械装置の補償金を受けたときは、対価補償金として取り扱うことができます。

(5)原状回復費、協力料などの補償金・・・その他の補償金
その他の補償金については、その実態に応じ、各種所得の金額の計算上、総収入金額に算入します。ただし、改葬料や精神的補償など所得税法上の非課税に当たるものは課税されません。


3.実務において
交付された補償金がいずれの補償金に該当するかどうかの判定は、名義の如何を問わず実質的に判定すべきものとされていますが、その判定が困難なときは、課税上弊害がない限り、事業施工者の証明するところにより判定するものとして取り扱われています。実務上は受け取った補償金の内訳が収用証明書に記載されていますが、その補償金が上記とは異なる表現になっていることもあり、そのような場合は受け取った補償金が何を補償しているのか、どの補償金に該当するのか判断に迷うことも少なくありません。そのような場合は施工者へ直接確認することが最も確実でしょう。
収用等によって受け取った補償金が5,000万円以下であれば5,000万円控除が使えるため税金はかからないと考えがちですが、対価補償金に該当しないものは原則として特別控除の対象にならないため、対価補償金以外の補償金として受取りその交付の目的に使用しなかったような場合は一時所得や不動産所得等として課税されることになり、収用なので税金はかからないと思っていたところ、実際には大きな課税がされることもあるので注意が必要です。



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