不動産賃貸業の法人化その1

Ⅰ.はじめに
最近不動産賃貸業を行っている個人の方が法人を設立するケースが増えているように感じます。そこで個人の不動産賃貸業を法人化することによりどのようなメリットが期待できるのかをまとめてみました。


Ⅱ.不動産賃貸業を法人化するメリット
1.収入を分散することによる個人所得税・住民税節税効果
不動産賃貸業を行っている個人の所得水準が高い場合、累進課税により所得税率も高くなっているため、個人で得ていた収入を法人へ移すことができれば、個人から法人へ所得が分散され、個人所得税・住民税の節税効果が期待できます。


2.親族への収入分散による生前贈与・相続税節税効果
法人へ移された収入を他の親族へ給与として支給することにより、本来不動産賃貸業を行っていた個人が得るはずだった収入を、法人を通して他の親族へ移すことができ、個人の財産が増えていくことを抑え、結果として相続税節税効果が期待できます。


3.その他の効果
法人の利用の仕方次第では、上記節税メリットの他にも例えば下記のような様々なメリットを期待することも可能です。


(1) 社会保険の観点
・国民健康保険から社会保険へ加入することにより、保険料が節減できる場合があります(逆に社会保険に加入することにより、保険料負担が大きくなる場合もあります)。


(2) 各種経費・損金の拡大
・小規模企業共済、倒産防止共済を利用した節税・退職金準備
小規模企業共済は、個人不動産賃貸業においては事業的規模でなければ加入することができませんが、法人化して役員になると、例え小規模な不動産賃貸業であっても小規模企業共済へ加入することができることとなり、最高月額7万円(年額84万円)を所得控除でき、個人として退職金を作ることができます(ただし加入には諸要件があるため、実際に加入できるかどうかは事前に確認が必要です。倒産防止共済も同じ)。
倒産防止共済は、個人不動産賃貸業において加入自体はできますが掛け金を経費とすることができないため、個人として加入するメリットは見出せません。一方法人化すれば最高月額20万円(年額240万円、累積800万円まで)を損金に計上でき、法人として退職金を作ることができます。
いずれの制度も法人化すれば全額損金・経費になるため、節税効果・税の繰り延べ効果は非常に高いといえます。


・保険を利用した節税・退職金準備
貯蓄型の保険に加入することにより、保険料を一部経費化しながら退職金を作ることができます。また医療保険等においても全部または一部を経費化しながら個人の保障に備えることも期待できます。


・出張旅費規定
個人不動産賃貸業では事業に伴う出張旅費を経費にすることは可能ですが、法人では出張旅費規定を設けることにより、出張旅費に加え出張に伴う日当を受け取ることが可能となります。


・その他
明確なメリットというわけではないのですが、ある相談者の方が、「法人を持つことにより不動産賃貸業だけでなく様々な選択肢・可能性が膨らみ、無理のない範囲で小さな事業活動、投資活動を行うきっかけになった」とおっしゃっておりました。法人を持つことを、「外商カード、ゴールドカードを持つような感覚」と言っていたのが記憶に残っています。


Ⅲ.さいごに
本年の税制改正で、消費税・相続税の増税をはじめとして、個人への増税が続いていくような流れが見えつつあります。法人を持つこと自体は実はそれほど難しいことではありませんので、今後は法人を持つ個人が増え、個人所得と法人所得を上手にコントロールする流れが流行っていくのではないかと思っています。
税の公平性というグローバルな観点から考えると、所有形態を変えることにより大きな節税効果が期待できるというのは少々不合理な感じもしないではないのですが、これだけ税制が複雑になっていますので、知っているものが得をする、行動したものが得をする、という流れはやむを得ないことなのかなという気もしています。
 次稿では具体的に不動産賃貸業を法人化する手法(管理委託方式、サブリース方式、不動産保有方式)について解説します。



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