益税の問題点

1.益税とは
 益税とは、消費者が事業者へ支払った消費税のうち事業者から国庫に納入されず、事業者の手元に残る租税利益のことを指し、狭義においては消費税に関する問題としてしばしば取り上げられる用語ですが、広義においては消費税に限らず合法的に事業者の手元に残る租税利益全般のことを意味します。


2.益税の発生原因
 益税が発生する原因として例えば次のようなケースが挙げられます。
(1) 免税事業者による益税
免税事業者とは消費税を納める義務がない小規模な事業者のことであり、主に基準期間の課税売上高が1千万円以下の事業者が該当します。
本来であれば消費者から売上等について預かった消費税から仕入・諸経費等で支払った消費税を差し引いた残りの消費税相当額を国庫へ納付すべきですが、免税事業者は消費税を納める義務がないため、この消費税相当額は国庫へ納入されることなく事業者の手元に残る計算となり、事業者の利益すなわち益税となります。


(2) 簡易課税制度を選択した事業者による益税
 簡易課税制度とは、実際の課税仕入等の税額を計算することなく、課税売上高に一定のみなし仕入率を乗ずることにより仕入税額控除の計算を行う消費税の計算方法で、基準期間の課税売上高が5千万円以下の事業者は、通常の原則課税制度に変えて簡易課税制度を選択することができます。
 簡易課税制度を選択した事業者は、一定のみなし仕入率に基づいて仕入税額控除を計算しますので、「仕入・諸経費等で実際に支払った消費税額」よりも「みなし仕入率に基づいて計算した消費税額」のほうが大きければ、「みなし仕入率に基づいて計算した消費税額」-「仕入・諸経費等で実際に支払った消費税額」相当額が事業者の手元に残る計算となり、事業者の利益すなわち益税となります。


(3)医師等の概算経費率による益税
消費税とは異なる論点ですが、医師等の概算経費率とは、社会保険診療報酬額に一定の概算経費率を乗ずることにより経費を計算する方法で、年間の社会保険診療報酬額が5千万円以下である医業又は歯科医業を営む個人及び医療法人(以下医師等)は、実際にかかった経費にかかわらず、概算経費率を用いて経費を計算することができます。
 概算経費率を用いた医師等は、一定の概算経費率に基づいて経費を計算しますので、「実際にかかった経費」よりも「概算経費率に基づいて計算した経費」のほうが大きければ、「概算経費率に基づいて計算した経費」-「実際にかかった経費」相当額が医師等の手元に残る計算となり、この利益に対する税金が益税となります。


3.益税問題への対応案
上記例に掲げた税制は、「小規模事業者を守る」という趣旨から成り立っていますので、全面廃止といったような大規模な改正を行うことは難しいのではないでしょうか。しかし益税に関する問題は頻繁に論議されており、税収を確保するために、また不公平税制を是正するために、今後何らかの形で改正が行われていくものと考えます。
益税問題について私見としましては、益税が発生する原因であるみなし仕入率、概算経費率が高すぎるのではないかと考えます。
簡易課税を例にとりますと、「原則課税」と「簡易課税」を比較すると多くの事業者において「簡易課税」を選択したほうが有利になる状況であり、この状況が益税を発生させている大きな原因であると考えます。
仮に政府が益税を解消するためにみなし仕入率を大きく上昇させたと想定すると、「原則課税」と「簡易課税」を比較すれば概ね「原則課税」が有利となり通常は「原則課税」を選択する、しかし事務の簡便性を重視するのであれば多少不利になるかもしれないが「簡易課税」を選択する、という趣旨の簡易課税制度となり、現状のような大きな益税は発生しにくくなるのではないかと考えます。
「原則課税」の事務処理の煩雑さに関しても、売上規模が年間1千万を超える事業者であれば、自社の状況を把握するという意味においても経費を集計する程度の事務処理は最低限行うべき、かつ充分可能な作業であると考えます。


4.最後に
当事務所も小規模な事業者であるため消費税の簡易課税による益税の恩恵を受けている事業者の一人ですが、益税を減らしていくことは公正な税制を維持・推進していくためにも重要なことであると考えます。





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