法人設立と消費税その1

(新日本法規出版社-「e-hoki」内に掲載)

1.はじめに
 


周知のとおり新会社法が平成18年5月1日に施行され、法人を設立するにあたっては法律上、資本金が不要になった。資金面・法務面など様々な側面から法人設立が容易になったことに伴い、法人の設立が非常に増えている。

 税金面に関して言えば、安易な節税目的から設立される同族会社については、「実質一人会社のオーナー役員に対する役員給与の一部損金算入制限」(前回コラム参照)により、法人設立による節税メリットは大幅に薄れることになったのであるが、それでもなお法人化による税務メリットを享受するケースは多い。
中でも消費税に関しては、法人を設立すれば大きな税務メリットを享受するケースが考えられる(個人事業者から法人設立の相談を受ける場合、実はこの点についての相談が非常に多い)。
さて消費税に関してどんなメリットがあるのだろうか?


2.消費税の納税義務者



 現行の消費税法において消費税を納めなければならない者は次のように定められている。

「事業者(個人事業者及び法人を指す)は、国内において行った課税資産の譲渡等につき、消費税を納める義務がある」(消費税法5条)
「ただし事業者のうち、その課税期間に係る基準期間における課税売上高が1000万円以下である者については、その課税期間中に国内において行った課税資産の譲渡等につき、消費税を納める義務を免除する」(消費税法9条)

 上記条文を読みやすく説明すると下記のとおりである(以下、法人の事業年度は1年として説明する)。

○ 個人事業者の場合、基準期間(2年前)の課税売上高が1000万円を超えていれば、今年において消費税の納税義務が発生し、今年の課税売上高に対する消費税を納めなければならない。
逆に2年前の課税売上高が1000万円以下ならば、今年において消費税の納税義務はなく、今年の課税売上高に対する消費税を納める義務はない。


○ 法人の場合、基準期間(前々期)の課税売上高が1000万円を超えていれば、今期において消費税の納税義務が発生し、今期の課税売上高に対する消費税を納めなければならない。
逆に前々期の課税売上高が1000万円以下ならば、今期において消費税の納税義務はなく、今期の課税売上高に対する消費税を納める義務はない。


3.法人設立時の留意点



法人を設立する場合、消費税に関しては下記の点に注意して設立を検討すべきである。

(1)法人設立時の消費税 ― 原則的取扱い
法人を設立した場合、設立第1期・第2期については基準期間(以下、前々期と表現する)が存在しない。前々期の課税売上高が存在しないため、設立第1期・第2期においては課税売上高がいくらあろうとも、消費税を納める義務はない。


(2)法人設立時の消費税 ― 新設法人の特例
ただし資本金が1000万円以上の法人については、前々期の課税売上高が存在しないにもかかわらず、設立第1期・第2期において消費税を納めなければならない(第3期以降は前々期の課税売上高が1000万円を超えるかどうかで納税義務の有無を判定する)。


要約すると、下記のとおりである。

○資本金1000万円以上の法人を設立した場合、設立第1期から消費税を納めなくてはならない。

○資本金1000万円未満の法人を設立した場合、設立第1期・第2期は消費税を納める義務はない。

 法人を設立する場合、資本金が1000万円以上の法人か否かによって、消費税の納税義務判定が異なるので注意が必要である。



4.前半まとめ 


資本金1000万円未満の法人を設立すれば、設立後2期間は消費税を納める義務がない(一部例外を除く)。
この点に着目し、次回はケース別の法人設立時における消費税納税義務の具体例を見ていきたい。



(追記)法人設立時においては、多額の設備投資が行われる場合や、売上よりも費用のほうが多いケースが多数見受けられ、このように受け取った消費税よりも支払った消費税のほうが多い場合には、消費税の還付を受けることができる場合がある。
消費税の還付を受けるには、消費税法上の「課税事業者」になっておかなければならないため、法人設立前に出来る限り消費税のシミュレーションをしておくことが必要である。
資金計画・利益計画とともに、消費税についても事前に検討しておくことをお勧めする。






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