法人契約のがん保険について

1.はじめに
 平成24年2月29日に国税庁ホームページ上にがん保険(終身保障タイプ)の保険料に関する税務の取り扱いについてのパブリックコメントが発表されました。これによりますと、今後がん保険(終身保障タイプ)の税務の取り扱いが変更されることになります。


2.法人契約のがん保険(終身保障タイプ)の税務上の取り扱い
(現行の取り扱い 平成13年8月10日付法人税関係個別通達
http://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/tsutatsu/kobetsu/hojin/010810/02.htm)
(1)保険料払込期間が終身の場合
保険料は払い込みの都度全額損金とする。

(2)保険料払込期間が有期の場合
「払込保険料×(保険料払込期間/(105歳-加入時年齢)」を損金とし、残りの金額を資産計上とする。保険料払込満了後は、資産計上部分を期間按分して取り崩し損金とする。

(改正案 平成24年2月29日 パブリックコメント 「法人契約のがん保険(終身保障タイプ)・医療保険(終身保障タイプ)の保険料の取扱いについて」(法令解釈通達)の一部改正(案)等に対する意見公募手続の実施について
http://search.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=PCMMSTDETAIL&id=410240007&Mode=0)
(1)保険料払込期間が終身の場合
 「保険期間開始(加入時年齢)から105歳までの期間」の前半分(前払期間)については保険料の2分の1を資産計上し、残り2分の1を損金とする。
 前払期間経過後は、資産計上部分を期間按分して取り崩し損金とする。

(2)保険料払込期間が有期の場合
 一定の算式により当期分保険料を計算し、当期分保険料の2分の1に相当する金額と当期分保険料を超える金額を資産計上し、残額を損金とする。その後資産計上部分を期間按分して取り崩し損金とする。


要約すると、これまでは保険料支払い時に全額損金として認められていましたが、今後は当期分保険料の2分の1を資産計上し2分の1を損金とすることになります(結果として節税効果・税の繰り延べ効果は薄れることになります)。


3.変更の経緯、時期
現在のがん保険は解約返戻率が非常に高いものも多く、払い込んだ保険料のうちかなりの部分が戻ってくるにもかかわらず、現在のがん保険の通達では払い込んだ時点で全額損金として認めているため、現在のがん保険の通達が実際に販売されているがん保険の実態にそぐわないのではないか、そのうち全額損金が認められなくなるのではないかという憶測がここ数年の間流れていました。そして平成23年11月ごろ、国税庁から生命保険協会宛に、法人契約のがん保険について税務の取り扱いの見直しを検討する旨の通知があり、ついに平成24年2月29日、国税庁ホームページ上にパブリックコメントが発表されることとなりました。
 なお税務の取り扱いが変更される時期は現時点では未定となっております。
 これは今後1カ月程度の期間においてがん保険の販売状況等の意見をさらに集約し、いつから取り扱いを変更すべきかどうか決定するという意味です。よって過去に遡及して変更されるかどうかは現時点では未定であるため、全額損金になるという理由で駆け込み加入することは慎重に考えたほうがよいでしょう。


4.変更の影響
大きく私見が入りますが、法人契約のがん保険(終身タイプ)は、全額損金になるにもかかわらず、払い込み期間によっては80%~90%以上の解約返戻金があることから、節税目的や退職金準備のために加入されることが多く、本来の保障という目的とはかけ離れ、節税商品というイメージが強いものでした(保険会社も「節税」をセールストークにして法人がん保険を勧めてきたように感じます)。
 現況では明確に変更時期が決まっておりませんが、実際に保険会社の方に現在の対応を聞いてみたところ、相談者へは税務が変更されるリスクを了承していただければ販売する、という姿勢のようで、実際のところは、節税に強い関心のある経営者へ積極的に変更前最後の営業をしかけている保険会社もあるようです。
 税務の現場で感じることは、利益が出ている好調な会社は節税にも関心があり、損金にしながら退職金準備や緊急時の資金としての貯蓄にもなる保険商品には関心が高いように感じます。
 しかし一方で税務の取り扱いが変われば節税効果が薄れ、資金が目減りするデメリットのほうが大きくなってしまう場合もありますので、税理士も相談者もそして保険会社も本当に相談者のためになっているのかどうか、慎重に検討しなければならないと思っています。
昔から「税務当局」と「保険会社」とは節税を規制しては新たな保険商品(節税商品)を作り出すという「いたちごっこ」が続いています。今回の改正はあまり大きな話題にはなっておりませんが、税務に携わる者としては大きな改正になりますので、最新の状況を把握し、相談者へ正しいかつ有利な情報を提供していかなければならないと考えています。





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