個人事業の法人化その3

Ⅴ.法人化のメリット・デメリット
法人化を検討する場合、税金面だけではなく多方面から検討をすべきである。そこで税金面に限らず、法人化のメリット・デメリットをまとめてみた。

1.法人化のメリット

□ 社長本人へ給与を支給することにより、所得税の節税が期待できる
前々回のコラム参照

□ 家族従業員へ給与を支給することにより、所得の分散(節税)が期待できる
   前々回のコラム参照

□ 経費に計上できるものが増える
  社宅家賃・出張旅費日当・福利厚生費支出など、個人事業なら認められない(もしくは制限される)が法人であれば経費として認められるものがある。ただしいずれも無条件で経費として認められるものではなく、その支出に関する規程・条件が整備されていること、規程に基づいて経費の実態が伴っていること、など条件を満たす必要がある。

□ 役員へ退職金を支給することができる
  個人でも小規模共済などによる退職金準備は可能であるが、法人のほうがより高額に退職金を準備しやすく、選択肢の幅が広がると言える。

□ 資本金が1千万円未満の場合、消費税が2期免税となる
  個人事業を法人化した場合においても、設立した新設法人の資本金が1千万円未満であれば、設立後の2事業年度においては消費税の納税義務がないため、大きな税務メリットが期待できる。

□ 法人のほうが個人事業に比べ信用力があるとみられる
  一般的に法人のほうが個人事業に比べ信用力があるとみられるようであり、取引先が大手もしくは保守的な業界であるほどその傾向が強い。また信用力とも関係するが、資金調達についても法人のほうが借入をしやすいようである。
   
□ 優秀な人材が集まりやすい、既存従業員のモチベーションもアップする
  社員の立場からしても社会保険が完備された法人のほうが安心であり、優秀な人材を集めやすいと言われる。

2.法人化のデメリット

■ 法人設立費用がかかる
 登記費用など設立費用がかかる。また司法書士等に依頼する場合は別途費用が必要になる。

■ 赤字でも毎年約7万円の税金がかかる
 法人は資本金の額に応じて毎年最低約7万円の税金(法人県民税・市民税均等割り)を払わなければならない。

■ 税務申告費用がかかる
 個人事業の税務申告に比べ法人の税務申告は複雑になる。また個人事業の法人化の場合は事前に検討すべき事項が多く、さらに事業が発展していくにつれて各種相談事が増えることを考えると、費用はかかるが法人化を機に税理士へ依頼することが望ましい。

■ 社会保険の負担が非常に重い
  社会保険に加入すれば将来もらえる年金は増えるため将来の保障という点ではメリットだが、毎月支払う社会保険料の負担は重くなるという点ではデメリットである。特に社会保険を負担しているという気持ちが強い中小企業の経営者の目線からすると、社会保険の負担は非常に重く感じるようである(なお実際は、法人を設立しても社会保険に加入していない会社がたくさんある)。

■ 個人資金と法人資金は明確に区分すべき
  個人事業では「個人資金」も「事業資金」も個人事業主のものであることから明確に区分されていない場合もよくみられる。しかし法人化すると「個人」と「法人」は別人格であるから、「個人資金」と「法人資金」は明確に区分すべきである。
例えば小規模事業、特に役員が1人の会社であれば、役員(=社長)が「法人資金」を勝手に使うことができてしまうが、経営上・税務上は問題があるので、「法人資金」と「個人資金」は明確に区分し、社長個人が「法人資金」を私的に使用すべきではない。


Ⅵ.法人設立後の諸手続き・シミュレーション
個人事業を法人化する場合、設立前後において検討すべき事項は多い。
具体的には各々のケースによって異なるが、一般的には下記の事項を中心としてしっかりと事前に検討すべきである。

□ 法人設立時期・決算時期の検討
消費税の2期免税メリットを考慮に入れながら自社にとって最も適した設立・決算時期を検討
する。
□ 法人事業開始に関する諸届の提出
特に青色申告承認申請書は提出期限があるので注意を要する。
□ 法人への財産債務の引継ぎ方法の検討
法人で使用し続ける資産(不動産・備品設備など)を法人へ売却するか賃貸するかの検討、
売却金額・賃貸金額の検討などを行う。
□ 役員給与の設定
役員の給与は原則として期中において変更できないため、事前に利益計画を立てて役員給
与を設定すべきである。
□ 社会保険への加入手続き
□ 就業規則、給与規程、退職金規程(役員退職金規程を含む)の整備
□ その他諸規程の整備
出張旅費規程、借上社宅規程など、規程を整備することにより税務上メリットを受けることがで
きるものがある。
□ 個人事業の閉鎖手続き
消費税の届出手続き、閉鎖年の確定申告、事業税の申告など失念しやすいものもあるので注意を要する。





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