鳩山首相の贈与税問題

(新日本法規出版社-「e-hoki」、内にて連載中)


1.はじめに
鳩山首相の偽装献金問題が連日ニュースとなっており、その中で母親から提供を受けた資金が税務上の「贈与」にあたるのか「貸付」にあたるのかについて一時議論がされていました。


2.問題の経緯
問題の経緯は新聞報道によると次のとおりです。
鳩山首相の母親は、鳩山家の資産管理会社「六幸商会」(東京都港区)が管理する自分名義の口座から、ここ数年間で約30~36億円を引き出して現金化し、2004年から2008年の5年間にわたってそのうち約9億円が鳩山氏側に渡っていた。この現金を受け取ったとされる元公設第一秘書(収支報告書に虚偽記載をしたとして解任)は、この資金については「贈与」ではなく「貸付金」であると主張。
ただしその後の報道によると、首相側は「贈与」であることを認め、修正申告の準備に入っているようです。


3.贈与か貸付か
「贈与」か「貸付」かは、事実関係に基づいて総合的に判断され、税務上の判断が難しい場合もありますが、概ね次の点に着目して判断します。

ポイント1: 返済しているか?

受け取った資金を返済していない場合は、受け取った資金全体が「贈与」であると認定される可能性が高くなります。また、受け取った者にその資金を返済する能力・資力がない場合も、受け取った資金全体が「贈与」であると認定される可能性が高くなります。
要は借りたのなら実際に返している、もしくは返すことができることを立証しなければならないということです。

ポイント2: 利息を支払っているか?

利息を支払っていれば「贈与」ではなく「貸付」であると主張しやすくなります。
一方利息を支払っていなければ、税務上は通常支払うべき利息相当額を「贈与」と認定します。
よって利息を支払っていないというだけでは必ずしも全体が「贈与」になるというわけではありません(状況によっては全体が「贈与」と認定される場合もある)が、「貸付」という形式をとるのであれば、利息は支払うべきであると考えます。

ポイント3: 借用書を結んでいるか?

借用書がなければ必ずしも「贈与」になるというわけではありませんが、当事者間だけでなく第三者(例えば税務調査)に対して事実関係を立証するためにも借用書は準備しておくべきだと考えます。


4.税務上の見解
鳩山首相の例は新聞報道のとおりだとすると、仮に本人がその事実を知らなかったという特殊な事情があるとしても税務上は「贈与」であると判定せざるを得ません。

(参考―国税庁タックスアンサー及び相続税法基本通達より)
No.4420 親から金銭を借りた場合
 親と子、祖父母と孫など特殊関係のある人の相互間における金銭の貸借は、その貸借が、借入金の返済能力や返済状況などからみて真に金銭の貸借であると認められる場合には、借入金そのものは贈与にはなりません。
 しかし、その借入金が無利子などの場合には利子に相当する金額の利益を受けたものとして、その利益相当額は、贈与として取り扱われる場合があります。
 なお、実質的に贈与であるにもかかわらず形式上貸借としている場合や「ある時払いの催促なし」又は「出世払い」というような貸借の場合には、借入金そのものが贈与として取り扱われます。
(無利子の金銭貸与等)
9-10 夫と妻、親と子、祖父母と孫等特殊の関係がある者相互間で、無利子の金銭の貸与等があった場合には、それが事実上贈与であるのにかかわらず貸与の形式をとったものであるかどうかについて念査を要するのであるが、これらの特殊関係のある者間において、無償又は無利子で土地、家屋、金銭等の貸与があった場合には、法第9条に規定する利益を受けた場合に該当するものとして取り扱うものとする。ただし、その利益を受ける金額が少額である場合又は課税上弊害がないと認められる場合には、強いてこの取扱いをしなくても妨げないものとする


5.さいごに
贈与税の課税漏れは、相続発生時や不動産の売買・名義変更時など特殊な場合でない限り、一般的には発見されにくいようです。しかし贈与と認定された場合、贈与税は非常に高額になることが多いため、一般の方も今回の事件を参考にして贈与税には充分注意すべきだと思います。





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