現物給与と福利厚生プラン

(新日本法規出版社-「e-hoki」、内にて連載中)

Ⅰ.はじめに
先日知り合いの社長さんから次のような話を聞きました。
「うちの会社は給与の水準は高くないけれど、給与以外の福利厚生は充実しているんだよね。お昼の弁当代は全て会社が払っているし、社員が使える経費もけっこう寛容に認めているし、その他にも直接お金ではないけれど、色々社員へ還元しているんだよ。」

それ以上詳しい内容は聞きませんでしたが内容によっては税務上問題になる可能性があります。
今回は金銭以外で提供される「現物給与」について取り上げたいと思います。



Ⅱ.現物給与とは
1.現物給与に対する課税の原則
「その年分の各種所得の金額の計算上収入金額とすべき金額又は総収入金額に算入すべき金額は、別段の定めがあるものを除き、その年において収入すべき金額(金銭以外の物又は権利その他経済的な利益をもって収入する場合には、その金銭以外の物又は権利その他経済的な利益の価額)とする」(所得税法36条)


つまり給与として課税されるものは金銭だけに限りません。金銭以外の形で何らかの経済的な利益を受けた場合、その経済的利益(現物給与)については原則として給与として課税されることになります。
納税者サイドからすると一見非常に厳しい規定のように感じられますが、無条件で現物給与を認めると課税上の弊害が発生することは明らかですので、課税サイドからすると当然の規定であるといえるでしょう。


2.現物給与の範囲
下記に該当する利益を提供した場合、その利益を受けた者は原則として「現物給与」として課税されることになります。
一口に現物給与といっても想定される支給形態は様々ですので、何らかの経済的利益を受けている場合は「現物給与」とみなされる可能性があると考え、税務リスクがないかどうか一度は検討したほうがよいでしょう。


○ 物品等を無償又は低価で供与した場合の供与利益
○ 土地・家屋・その他の資産を無償又は定価で貸与した場合の貸与利益
○ 金銭の無利息又は低利貸し付けをした場合の供与利益
○ その他用役を無償又は低価で供与した場合の供与利益
○ 債務免除を行った場合の債務免除益


3.課税されない例示
ただし所得税法基本通達には、上記2に該当する現物給与であっても課税されない場合について例示されています。下記に掲げるもののうち一定の要件に該当した場合は、現物給与ではありますが課税されません(所基通36-21~36-35の2)。


○ 永年勤続者の記念品
○ 創業記念品
○ 商品、製品等の値引販売
○ 残業又は宿日直をした者に支給する食事
○ 金銭の無利息貸付のうち、特殊理由もしくは少額なもの
○ 使用者(以下会社と表現する)が負担するレクリエーション費用
○ 会社契約の保険料(のうち一定の要件に該当するもの)
○ 会社が負担する役員又は使用人の行為に基因する損害賠償金等(のうち一定の要件に該当するもの)
○ 会社が負担するゴルフクラブ、社交団体等の入会金等(のうち一定の要件に該当するもの)


4.一部課税されない例示
一部給与として課税すれば、一部は給与として課税されない例として次のものがあります。

○ 食事代の支給
会社が使用人(または役員)に対し支給した食事代のうち、使用人負担割合が50%以上で、さらに会社負担額が月額3,500円以下の場合のその会社負担額は課税されません。
(会社負担額が50%を超える場合、または月額3,500円を超える場合はその全額を給与とします)。

○ 住宅の貸与
住宅の貸与については役員・使用人でその取り扱いが異なります。
家賃のうち一定の算式に基づいて計算した金額をその役員・使用人から徴収すれば、残りの会社負担分は給与として課税されません。会社として導入可能であれば非常にメリットがある福利厚生プランとなります。詳細は事例を示しながら次回において説明したいと思います。


5.現物給与のメリット
現物給与を活用した福利厚生プランを導入した場合、次のようなメリットが期待できます。

○ 会社としては少ない費用負担で福利厚生プランを提供することができ、従業員としては税務メリットを享受しながら福利厚生の恩恵を受けることができる
○ 福利厚生を選択できるカフェテリア方式を採用すれば、従業員の士気があがりやすい


(補足)社会保険について
社会保険に関しても法律上は現物給与を加味して社会保険料を算定しなければなりません。会社が現物給与を含めずに社会保険料を算定していれば、それだけ会社(及び従業員)が負担する社会保険料は安くなっています。私見ではありますが、特に中小企業の場合、会社側が現物給与を含めて社会保険料を算定しているか、社会保険事務所側もどこまで厳しくチェックしているか疑問に感じます。


Ⅲ.さいごに
 次回は現物給与の中でも福利厚生制度として取り入れれば税務メリット・福利厚生メリットを大きく享受できると思われる住宅貸与制度を取り上げたいと思います。





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