輸出免税に関する注意点

(新日本法規出版社-「e-hoki」、内にて連載中)



1.はじめに
前々回において輸入取引に関する消費税を取り上げましたが、今回は輸出取引に関する消費税法について取り上げます。


2.輸出免税の取り扱い
消費税は国内において事業者が行った資産の譲渡等に対し、課税が行われます。消費税法上は輸出取引も国内取引(国内において事業者が行った資産の譲渡等)の範囲に含まれますが、その商品・サービスが国外において消費されることから、一定の要件を満たした輸出取引に関しては消費税が免除されることとなっています(消費税法7条)。


3.輸出免税の対象となる取引に該当するかどうかの判定
下記の全てに該当した場合、その取引は輸出免税の対象となる取引に該当し、消費税は免除されたものとして取り扱われます。
(1)その取引が国内取引に該当するかどうか
(2)その取引が課税資産の譲渡等に該当するかどうか
(3)その取引が輸出取引等の範囲に該当するかどうか
(4)輸出取引等の証明があるかどうか


4.輸出免税の対象となる取引
 輸出免税の対象となる取引の具体例としては次のものが挙げられます(消費税法基本通達7-2-1)。
(1)本邦からの輸出として行われる資産の譲渡又は貸付
(2)外国貨物の譲渡又は貸付
(3)国際輸送、国際通信、国際郵便等
(4)外国貨物の荷役、運送、保管等の役務提供
(5)非居住者に対する無形固定資産等の譲渡又は貸付
(6)非居住者に対する役務の提供で次に掲げるもの以外のもの
○ 国内に所在する資産に係る運送又は保管
○ 国内における飲食又は宿泊
○ その他国内において直接便益を享受するもの



5.実務の現場から 
例えば単に商品を海外へ輸出したような場合ですと輸出免税の判定は難しいものではありません。
 しかし海外取引は単に商品を輸出する場合だけではなく、様々な形をとり取引が複雑になってきており、それに伴い消費税の判定も複雑なケースが増えています。
そこで実務において過去に直面した取引の中から海外関係の消費税判定ポイントをいくつか掲げます。


例1:インターネットを介した海外取引 
(イ)国内において役務提供を行っていると判定されるケース
(ロ)国外において役務提供を行っていると判定されるケース
(ハ)国内外において役務提供を行っており、判定が難しいケース(どちらとも考えられるケース)
インターネット取引は国内にいながら同時に海外で事業を行うことができます。役務提供がどこで行われているかが判定ポイントとなりますが、ビジネスの形態によっては税法が追いついていない場合も想定されます。判断が難しい場合でも取引の事実関係を確認し、税務調査時に主張ができるようにしておくことが大切です。


例2:非居住者に対する役務提供
(イ)非居住者かどうかの判定
(ロ)役務提供地が国内か国外かの判定
非居住者に対する役務提供のうち国内において直接便益を享受しない場合は輸出免税に該当しますが、上記の判定に関し判断が難しいケースが想定されます。


例3:商社が介在している場合の輸出免税の判定
 輸出免税を受けるのは誰か、取引書面で事実関係を確認する必要があります。


例4:輸出証明書並びに準ずる書類の判断
 消費税法上輸出免税に該当する取引であっても、物品の輸出をしていないため輸出証明書がない場合も多くあります。この場合、相手方との契約書その他の書類で一定の事項を記載した書類の保存が義務付けられています。




6.輸出免税判定の重要性

 「輸出免税取引」は、消費税が課税されない「非課税取引」・「不課税取引」とは課税の取り扱いが大きく異なります。よって輸出免税取引を「非課税取引」・「不課税取引」と混同した場合や、「輸出免税取引」を理解していなかった場合、次のようなミスが発生し、損失を被ってしまうことがありますので注意してください。
 

例1:
資本金が1千万円未満の事業者は、開業当初2年間は消費税が免除されるため、当初2年間は消費税の申告をしなかった。しかし輸出をメインとしている事業者は課税売上にかかる消費税よりも課税仕入にかかる消費税のほうが大きいケースも多く、「課税事業者」を選択する手続きをしていれば消費税の還付を受けることができたのに、手続きをしなかったため、消費税の還付を受けることができなかった。


例2:
「原則課税方式」を適用すれば消費税の還付を受けることができたのに、「簡易課税の届出書」を提出してしまい、消費税の還付を受けることができなかった。


7.さいごに
 最近は個人・小規模事業者の輸出入取引が増えてきました。
海外取引の税務は税務調査でも特にチェックされやすいので、取引内容・事実関係の確認、証拠書類の保存には特に注意していただきたいと思います。







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