少人数私募債に関する税務

(新日本法規出版社-「e-hoki」、内にて連載中)


Ⅰ.少人数私募債とは

少人数私募債は社債の一種ですが、発行手続きが簡便であるため、中小・ベンチャー企業の資金調達の一方法として注目を集めています。
そこで本稿では少人数私募債の活用と、失念しがちな発行後の税務手続きについて説明します。


Ⅱ.少人数私募債の発行条件

主な発行条件は次のとおりです。

1.発行体: 株式会社、合同会社、合名会社、合資会社等であること
2.募集対象者: 募集対象者が49名以下であり、取引先・縁故者等を中心とした直接募集であること
3.社債発行単位: 社債発行総額を社債の最低額面金額で割った数が49以下であること。
4.告知義務: 社債発行が1億円未満の場合、届出・告知義務なし
5.担保・保証人: 不要



Ⅲ.発行のメリット

当然資金調達が目的ですが、次のような2次的メリットも考えられます。

1.発行内容によっては手続きが簡便かつ迅速であるので、状況次第では金融機関に依頼するより早期に資金調達が可能である
2.社債を発行することにより、金融機関からの格付け・評価・信用力が高まることも期待できる
3.社債という形で資金援助を受けることで、支援者との関係が強化される



Ⅳ.発行手続き

少人数私募債発行までの一般的な手続きの流れを示すと下記のようになります。初めて社債を発行する会社は、書類の作成準備、手順について最初は複雑に感じるようですが、手順どおりに進めていけば手続き自体はスムーズに進んでいきます。

1.事業計画書の作成
2.社債募集に関する取締役会の決議
3.社債発行趣意書・募集要項の作成
4.社債申込証の作成
5.社債引受人の審査
6.社債発行金額の決定
7.社債募集決定通知書の作成・送付
8.社債申込証拠金の受取
9.社債申込証拠金預り証の発行
10.社債券の印刷・発行
11.社債原簿の作成



Ⅴ.税務手続き

1.利息に対する源泉徴収
少人数私募債に限らず社債を発行する場合には、社債発行者は社債権者に対し、毎利払い期において社債利息を支払うことになりますが、その利息からは20%(国税15%、地方税5%)の源泉所得税を差し引かなければなりません。



2.社債発行者側の取り扱い
社債発行者は社債権者に対し毎利払い期において社債利息を支払うことになりますが、源泉所得税に関する次の諸手続きが必要になります。


(1)源泉所得税の納付
社債発行者は、利払い日の属する月の翌月10日までに、源泉徴収した所得税(15%)を税務署へ納付しなければなりません。
なお社債利息にかかる源泉所得税については、「源泉所得税の納期特例制度(源泉所得税を半年分まとめて収める制度)」はありませんので注意してください。


(2)地方税(利子割り)の納付
社債発行者は、同様に利払い日の属する月の翌月10日までに、源泉徴収した地方税利子割り(5%)を県税事務所へ納付しなければなりません。


(3) 県税事務所への届出
 社債発行者は、社債発行・利払いの内容に関し、県税事務所へ「営業所等設置届出書」を提出しなければなりません。



3.社債権者側の取り扱い
社債権者が受け取る利息は20%が源泉徴収されており、社債権者が個人の場合は源泉徴収で終了し、確定申告は不要です。社債権者が法人の場合は利息を含めて決算申告することになります。



Ⅵ.さいごに

少人数私募債は、金融機関から資金調達ができなかった場合に考える最後の手段というイメージもないことはないのですが、取引先・従業員・親族等からの支援が得られそうな状況である場合、検討する余地は充分あると思います。
少人数私募債による資金調達の可能性については、
1.いかに魅力的な事業であるか(魅力的な事業計画を示すことができるか)
2.どれだけの支援者がいるか
に尽きるのではないでしょうか。







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