輸入申告に関する消費税

(新日本法規出版社-「e-hoki」、内にて連載中)


Ⅰ.はじめに

中小企業の海外進出・国際貿易取引が増えるにつれて、海外絡みの税務問題が増えつつあるように感じます。
一昔前ですと国際税務問題といえば一部の大企業のみに該当する問題であるかのような印象がありましたが、企業のボーダーレス化が進んだ昨今では海外取引を行っている中小企業は全くめずらしくありません。これらの企業は、特に海外取引について適正に処理を行っているか、税務リスクを検討しておかなければならないでしょう。
中でも消費税は非常に身近な問題であり、輸出入を行う事業者においては、輸出入に関する消費税をしっかりと理解しておく必要があります。
そこで本稿では消費税のうち、輸入取引に関する消費税について注意すべき点をまとめます。



Ⅱ.輸入申告の注意点

1.手続き
海外から輸入を行う場合、外国貨物を保税地域から引き取る者(輸入する者)は、原則として、品名・数量・金額・消費税等を記載した輸入申告書を税関長に提出し、その物品を引き取るときまでに輸入に関する消費税を納付しなければなりません(ただし担保を提供し、要件を満たせば最長3ヶ月間納期限の延長が可能です)。


2.課税標準・税率
(1) 課税標準
輸入消費税の課税の対象となる課税標準額は、
「関税課税価格(通常はCIF価格)+関税+消費税以外の諸税」
となります。

(2)税率 
輸入消費税の税率は、国内取引と同様に5%(国税4%、地方税1%)となります。

(注)取引対価の額と消費税の課税標準額は異なりますので、通常の国内取引にかかる消費税とは異なり、必ずしも「取引対価の額×5%=消費税額」とはなりませんので、取引の都度、証憑類を確認し、消費税額を把握しなければなりません。


3.仕入税額控除
輸入取引について税関長に納付した消費税は、決算時に確定申告税額として納付すべき消費税から控除することができます(仕入税額控除)。
なお、仕入税額控除を受けるためには下記の事項を記載した書類を保存しなければなりません。

(1) 帳簿(引取り年月日、貨物の内容、課税標準・消費税額等を記載)
(2) 輸入許可書等(税関長、引取り年月日、貨物の内容、課税標準・消費税額、事業者の氏名等が記載されていることを確認)



Ⅲ.輸入消費税に関する否認事例
平成20年2月に東京地裁より、輸入消費税に関し仕入税額控除を認めないとする否認判決がありましたので紹介します(参考資料:週間税務通信NO.3008)。

1.事例
実質的な輸入者である企業(A社)が、輸入業務を他社(B社)へ委託。
B社は輸入業務を行い、B社の名前で輸入消費税を申告・納付。納付名義人はB社となっていたが、A社はB社へ消費税相当額を支払ったため、A社は自社の申告において仕入税額控除を行った。


2.判決結果
A社の仕入税額控除は認めない。
詳細な部分は省略させていただきますが、輸入許可書等の公法上の書面では、輸入業務を行ったB社が輸入並びに消費税を納税していることから、実質的な輸入者であるA社の仕入税額控除を認めないというのが趣旨である模様です。


3.注意点
仕入税額控除を受けることができるのは、輸入許可書上における輸入者です(実質的な輸入者と輸入申告者が異なる場合、通達により一部例外的な場合もあります)。



Ⅳ.さいごに
輸入を行う事業者に関しては、消費税の税務調査の際、輸入許可書及び帳簿に関して仕入税額控除の要件を満たしているかどうか、書類の保存状況を確認されることが多いです。
本稿では輸入に関する消費税を取り上げましたが、輸出免税取引に関しても留意しなければならない事項がたくさんあります。
貿易取引・国際取引はもはや売る・買うだけの取引ではなくなっており、税務判断が付き難い複雑な取引も多くなっています。
輸出入に携わる事業者の方々は、法務リスクだけではなく消費税をはじめとした税務リスクに関しても充分注意を払っていただきたいと思います。







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