事業承継対策その3 ― 相続・贈与における自社株評価

(新日本法規出版社-「e-hoki」、内にて連載中)


1.はじめに
オーナー社長の相続税対策を考える場合において、自社株の評価は非常に重要な意味合いを占めます。そこで本稿では相続・贈与において自社株がどのように計算されるのかを説明します。まずは評価の概略として
「どのような基準で株価が計算されるのか」
を理解していただきたいと思います。


2.自社株評価算定手順


○ステップ1:株主の判定
最初に株主の判定をします。ただし下記に示す判定には例外もありますので、株主構成によっては株主の判定結果が変わります。ご注意ください。


①第一段階:
その会社の中に、
「同族株主に該当する者がいるか」または「同族株主に該当する者がいないか」
を判定します。


②第二段階:
財産を取得する者が、
「同族株主に該当するか」または「同族株主に該当しないか」
を判定します。


③第三段階:
同族株主に該当する場合、その者が
「中心的な同族株主に該当するか」
または
「少数株主に該当するか(中心的な同族株主に該当しないか)」
を判定します。


「中心的な同族株主に該当するか」
「少数株主に該当するか(中心的な同族株主に該当しないか)」
で株価の評価方法は全く異なりますので厳密な判定が必要です。


(注1)「同族株主」とは、持ち株割合が30%以上(一定の要件に該当する場合には50%以上)のグループに属する株主のことです。


(注2)「中心的な同族株主」とは、同族株主の一人の株主(一定の親族を含む)の持ち株割合が25%以上である場合のその株主のことです。


○ステップ2:会社の規模を判定します
会社の取引金額・純資産価額等を基にして株式評価上の会社の規模を判定します。判定により、会社は次の区分に分けられます。
・大会社
・中会社(さらに大・中・小の3区分に分かれる)
・小会社


○ステップ3:特別な会社に該当しないか、財務内容等を判定します
  特別な会社の例:
・土地の保有割合が大きい会社(土地保有特定会社)
・株式の保有割合が大きい会社(株式保有特定会社)
・配当・利益・純資産のうち、2つ以上がマイナスの会社など


○ステップ4:その会社の判定基準に合った評価方法で株式を評価します


☆評価方法
 株式の評価方法には次の3種類があります。


①類似業種比準価額方式
 類似業種比準価額方式とは、
「自社の事業内容と類似する業種の上場会社の株価と、自社の財務内容を比較して株価を比較計算する方式」
と理解してください。


②純資産価額方式
 純資産価額方式とは、
「自社の現在の時価純資産を基に株価を計算する方式」
と理解してください。
 「純資産価額方式」では、自社が所有するすべての財産・負債の時価を算定して計算します。特に不動産や株式は時価と帳簿価額とが大きく乖離する場合もありますので、厳密に評価することが求められます。


③配当還元価額方式
 配当還元価額方式とは、
「自社の過去の配当金額を基に株価を計算する方式」
と理解してください。


☆会社に応じた評価方法
上記で判定した「株主区分」「会社区分」等により株式の評価方法が決定します。


① 通常の会社の場合{ステップ3(特別な会社)に該当しない場合}
 (イ)中心的な同族株主の場合(ステップ1参照)
 ⇒ 会社の規模(ステップ2参照)に応じて次のいずれかの方法で計算します。
○ 「類似業種比準価額方式」
○ 「純資産価額方式」
○ または「類似業種比準価額方式」「純資産価額方式」をミックスする方式


(ロ)少数株主に該当する場合(中心的な同族株主に該当しない場合)(ステップ1参照)
⇒ 配当還元価額方式で計算します。


通常、類似業種比準価額・純資産価額に比べ、配当還元価額は非常に低くなります。
つまり、
支配力がある株主については原則的な高い評価方式で、支配力がない少数株主については特例的に低い評価方式で評価することになります。


②特別な会社の場合{ステップ3(特別な会社)に該当する場合}
通常の会社の場合の方法をとらず、特別な会社において定められている評価方法をとります。多くの場合、時価純資産を基に諸調整を加えて評価されることになります。



3.さいごに
 次回は自社株評価を減額する対策について検討します。なお本稿で記載した評価方法は、原則的な部分しか記載しておりません。自社株評価方法は原則があり、特例があり、そのまた特例があり、非常に複雑になっており一つの判定を誤ると評価方法・評価額が全く変わってしまうこともありえます。自社株がどのようにして算定されるのかその仕組みを理解していただくことは非常に有意義なことですが、実際の事業承継スキームを税務面から検討する際は、やはりここは税理士に相談していただきたいと思います。なお事業承継に関する税制は現在様々な面から議論されており、近々大きな改正が行われるものと推測されますので税制改正の動向にも目を向けていただきたいと思います。








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