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2012年11月20日

扶養控除と外国人問題

1.はじめに
 平成23年より扶養控除の範囲が改正され、16歳未満の年少扶養親族については扶養控除が認められなくなりました。
年末年始は給与所得者の方は会社から源泉徴収票をもらう時期ですが、源泉徴収票を受け取ってみると、年少扶養控除の廃止により税金が高くなったと感じている方も多いと思います。とはいえ税金が高くなったと感じている方は、市区町村から「子ども手当」を受け取っていると思われますので、税金が高くなったことに対する一応の妥協感はあるのではないでしょうか。
本稿では、あまり身近なことではありませんが、「扶養控除」も「子ども手当」の恩恵も受け取れなくなった外国人の扶養控除問題について取り上げます。


2.扶養控除の改正による影響

(1)扶養控除の新旧比較
被扶養者一人につき、次の金額を本人の所得から控除することができます(所得要件、老人扶養親族等その他の基準については省略)。
(旧法・・・平成22年まで)
・16歳未満・・・38万円
・16歳以上23歳未満・・・63万円
・24歳以上・・・38万円
(新法・・・平成23年より)
・16歳未満・・・なし
・16歳以上19歳未満・・・38万
・19歳以上23歳未満・・・63万
・24歳以上・・・38万円

(2)改正による影響
16歳未満の者については扶養控除がなくなり、その分所得税・住民税が増税となります。しかし国内で子どもと同居している場合は原則として「子ども手当」がもらえますので、扶養控除がなくなることによる増税の影響は小さいと言っていいでしょう。
一方、外国に子どもを残してきている日本在住の外国人については、扶養控除がなくなり、かつ原則としては子ども手当ももらえません(受給できる要件はあるものの厳しい)ので、扶養控除がなくなることによる増税の影響は大きいと言えます。


3.どこまで扶養控除が認められるか?
扶養控除は、生計を一にしている配偶者以外の親族で6親等内の血族及び3親等内の姻族までが対象となります。また合計所得金額が38万円以下の者に限ります。(http://www.nta.go.jp/taxanswer/shotoku/1180.htm)
 なお別居している場合でも、送金等を行って実際に養っている(生計を一にしている)状況であれば、扶養控除の対象となります。
 外国人の場合は、母国にいる両親や親戚に送金をするなどして実際に養っているのであれば、出生証明書や婚姻証明書などで親族であることを証明すれば扶養控除が認められます。しかし実務上は下記の例のように扶養控除の対象にしていいかどうか判断に迷う場面が多々あります。
(例)
・友人・知人・親族等が帰国する都度現金で持ち帰っているため送金明細がない場合(国税庁は別居親族を扶養にする場合は送金の事実を示すよう求めていますが法令では定められていませんhttp://www.nta.go.jp/taxanswer/shotoku/1180_qa.htm#q3)
・送金額が少なすぎる場合(国によって物価は違うのでいくら送金すれば扶養していると言い切れるのか判断基準がない)
・父母・兄弟・甥・姪、多数の者を扶養していると申請してくる場合(本当に扶養しているのか客観的な判断基準が示せない)
・被扶養者が母国において本当に所得がないのかどうか判断することが非常に難しい


4.さいごに
現制度で外国人の扶養を判断することは、実務上は非常に難しいと感じています。
母国に家族を残し、日本で一生懸命仕事をして家族へ送金している外国人が正当に扶養控除を主張するのは正しいことですし、応援してあげたい気持ちは非常に強いのですが、他方では子どもを扶養控除の対象にできなくなったので16歳以上の親族を扶養控除の対象にしたいと考える外国人がこれからどんどん増えるのではないかと危惧しています。
外国人の扶養控除は、税収から見れば微々たるものなのでこれまであまり大きく問題としては取り上げてこられませんでしたが、年々日本に住む外国人は増えておりますので、明確な法制度による規定が必要なのではないかと感じています。





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投稿者 hasimoto : 12:26 | コメント (0)

税法のペナルティ

(新日本法規出版社-「e-hoki」、中小基盤整備機構が運営する情報ポータルサイト「J-NET21」内にて連載中)

1.はじめに

 税金には申告期限が定められており、その税金について定められた申告期限までに税金を支払わなければならない。これを怠ると様々なペナルティ、すなわち追加の税金が加算されることになる。
追加の税金については名称・内容・要件が複雑であり、実際にいくらペナルティが課されるのかは非常にわかりづらい。
そこで今月は税金のペナルティについてまとめてみた。


2.税金のペナルティ
 税金のペナルティは、罰則的な性格の税金(加算税)と、納付が遅れたことによる利子的な性格の税金(延滞税・利子税)に大別される。


(1)罰則的な税金(加算税)
 加算税は次の税金に区分される。


①過少申告加算税(国税通則法第65条)
(イ)定義
 過少申告加算税とは、期限内に申告書を提出したがその申告にかかる税額が過少であったため、その後修正申告書を提出したとき(または税務署から更正されたとき)に追加で課される税のことを言う。


(ロ)税率
 増加税額×10%
(期限内申告税額または50万円のいずれか多い額を超える部分については15%)
ただし税務署からの更正を予知せずに自主的に申告・納付を行った場合には、上記にかかわらず過少申告加算税は課されない。


②無申告加算税(国税通則法第66条)
(イ)定義
 無申告加算税とは、期限内に申告書を提出しなければならなかったが申告書を提出せず、申告期限を過ぎて申告書を提出した場合(または税務署から税額について決定があった場合)に追加で課される税のことを言う。


(ロ)税率
 税額×15%
(税制改正により、平成19年1月1日以後納付すべき税額が50万円を超える場合、超える部分については20%とされた)
ただし税務署からの決定を予知せずに自主的に申告・納付を行った場合には、税率は5%に軽減される。


③不納付加算税(国税通則法第67条)
(イ)定義
 不納付加算税とは、源泉徴収の方法により預かった国税を法定納期限までに完納しなかった場合に追加で課される税を言う。


(ロ)税率
 税額×10%
 ただし税務署からの納税告知を予知せずに自主的に納付を行った場合には、税率は5%に軽減される。また税制改正により、平成19年1月1日以後において一定の要件を満たす正当な理由があるときは、不納付加算税は課されないこととなった。


④重加算税(国税通則法68条)
(イ)定義
 重加算税とは、過少申告加算税・無申告加算税・不納付加算税が課される場合において、これらの事実を隠ぺいまたは仮装したと認められた場合に追加で課される税を言う。
なお重加算税は過少申告加算税・無申告加算税・不納付加算税に代えて課されるため、重加算税が課される場合は、過少申告加算税・無申告加算税・不納付加算税は課されない。


(ロ)税率
 税額×35%(ただし無申告の場合は40%)




(2)利子的な税金


①延滞税(国税通則法60条)
(1)定義
 延滞税とは、本来納付すべき税金を法定納期限までに完納していない場合に課される遅延利子的な税金を言う。


(2)税額の計算
 未納税額×年14.6%(注1)×計算期間(注2)÷365


(注1)法定納期限後2ヶ月間は、年「7.3%」と「前年の11月末日の公定歩合+4%」のいずれか低い割合が適用される。
(注2)原則として法定納期限から完納日までの日数(要件を満たせば一定期間が除算される)


②利子税(国税通則法64条)
(1)定義
 延納もしくは物納または届出により申告書の提出期限の延長が認められた場合に課される利子的な税金を言う。


(2)税額の計算
 年「7.3%」と「前年の11月末日の公定歩合+4%」のいずれか低い割合で日割り計算される(相続税・贈与税の利子税及び詳しい計算は、本稿では省略する)。

3.さいごに
 納付すべき税金を納付しなかった場合のペナルティは、実際に計算をしてみると予想以上に高額になることが多い(特に重加算税の場合)。
しかし、たとえ遅延したとしても税務署からの指摘ではなく自主的に申告納付した場合には、ペナルティは緩和されるように定められているため、申告漏れが見つかった場合には自主的に申告することを薦めたい。







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投稿者 hasimoto : 12:25 | コメント (0)

相続時精算課税制度の注意点

(新日本法規出版社-「e-hoki」、中小基盤整備機構が運営する情報ポータルサイト「J-NET21」内にて連載中)

1.はじめに 
平成15年に創設された新しい贈与税の課税制度である「相続時精算課税制度」も施行から4年を経過しようとしている。
贈与税は「暦年課税制度」、「相続時精算課税制度」の2種類があるが、どちらの制度を選択するにしても申告義務がある場合には暦年(1月1日~12月31日)で一旦区切り、翌年2月1日から3月15日までの間に確定申告を行わなければならない。
贈与を行う場合に検討すべき「相続時精算課税制度」の概要、選択時の判断材料をまとめてみた。


2.制度の概要


(1)相続時精算課税制度の概要
贈与時に贈与財産に対する贈与税を納め、その贈与者が亡くなった時にその贈与財産の贈与時の価額と相続財産の価額とを合計した金額を基に計算した相続税額から、既に納めたその贈与税相当額を控除することにより贈与税・相続税を通じた納税を行う方法、と定義される。


(2)適用対象者
この制度の適用対象者は、贈与年の1月1日時点において贈与者は65歳以上の親、受贈者は20歳以上の推定相続人である子(代襲相続人を含む)でなければならない。


(3)適用対象財産
 贈与財産の種類、金額、贈与回数に制限はない。


(4)税額の計算
「相続時精算課税制度」に基づく贈与を行った場合には、下記の方法で贈与税が計算される。


①贈与税額の計算
{贈与財産の価額―2500万円(特別控除額)(注)}×20%=贈与税額
(注)前年以前において既にこの特別控除額を控除している場合は、2500万円から既に控除した金額を差し引いた残額が限度となる。


つまり累積で2500万円までの贈与については、贈与時に贈与税を支払わなくてよい。


②相続税額の計算
「相続時精算課税制度」の適用を受けている贈与者が亡くなった場合には、下記の方法で相続税が計算される。


(財産の価額)
相続開始時点で有する相続財産の価額+「相続時精算課税制度」の適用を受けた贈与財産の価額(贈与時の価額で持ち戻し)=相続財産の価額・・・A


(税額の計算)
Aに対する相続税額-既に納付した相続時精算課税にかかる贈与税相当額(払いすぎている場合は還付される)


(5)適用手続
「相続時精算課税制度」を選択しようとする受贈者(子)は、その選択にかかる最初の贈与を受けた年の翌年2月1日から3月15日までの間(贈与税の申告書の提出期間)に納税地の所轄税務署長に対して「相続時精算課税選択届出書」を受贈者の戸籍謄本などの一定の書類とともに贈与税の申告書に添付して提出しなければならない。

3.「相続時精算課税制度」の注意点


(1)申告を必ずする
「相続時精算課税制度」は、累積で2500万円までの贈与については贈与税を支払わなくてもよい。そのため、申告をしなくてもよいと考えてしまう納税者の方々が時々おられる。
期限内に「相続時精算課税制度」の申請をしなかった場合、その年中の贈与については「相続時精算課税制度」の適用は原則として認められず、「暦年課税」が行われたものと判断される。その結果多額の贈与税があとから課税される危険性があるため、手続きを怠らないように充分注意が必要である。


(2)将来相続税がかかると思われる方は慎重に判断すべき
「相続時精算課税制度」を選択すれば、贈与した財産は将来の相続時において贈与時の価額で課税しなおされる。
つまり「相続時精算課税制度」を選択すれば、生前贈与しても相続税の計算時に持ち戻しされることになる。
一方、「暦年課税制度」であれば、相続開始前3年以内の贈与財産は相続税の計算に持ち戻しされることになるが、それ以前に贈与された財産は相続税の計算に持ち戻しされることはない。
相続税がかからない方は、持ち戻しされようがされまいが、将来の相続時に税金はかからないので税金の問題は関係ないが、相続税がかかると思われる方は、「相続時精算課税制度」を選択すれば、将来の相続税の負担が大きく変わってくることも考えられる。そのため相続税がかかると思われる方は、「相続時精算課税制度」を選択する場合には将来の税負担を考慮に入れながら慎重に判断すべきである。

(3)毎年110万円の基礎控除がなくなる
「暦年課税制度」においては、毎年110万円の基礎控除があるため、110万円以内の贈与については贈与税を納める義務はなく、申告書も提出する義務はない。
一方「相続時精算課税制度」を選択すると、年間110万円の基礎控除はなくなり、少しでも贈与をすれば、贈与をした年については申告書を提出しなければならなくなってしまう。


(4)撤回できない
「相続時精算課税制度」を一旦選択すれば、「暦年課税制度」に戻ることはできない。そのため「相続時精算課税制度」を選択する場合には慎重に判断すべきであり、出来れば専門家に相談することをお勧めしたい。


(5)どのような財産を贈与するか
  前述したように「相続時精算課税制度」を選択すれば、贈与した財産は相続時において贈与時の価額で課税しなおされる。
 そのため将来価値が上がっていくと見込まれる財産(例えば収益力のある不動産、将来性のある自社株など)を贈与した場合については、過去の(贈与時の)低い価値で課税しなおされるので、税務上メリットがあると言えるが、将来価値が下がっていくと見込まれる財産については、過去の(贈与時の)高い価値で課税しなおされるので、税務上デメリットが生じてしまう。
資産家が「相続時精算課税制度」を選択する場合、どのような財産を贈与するかはタックスプランニングにおいて重要な判断である。

 以上「相続時精算課税制度」について注意すべき点を挙げてみた。選択を誤ると多額の税金がかかってしまう規定であるため、適用を受ける際には充分注意していただきたい。








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投稿者 hasimoto : 12:24 | コメント (0)

法人設立と消費税その2

(新日本法規出版社-「e-hoki」内に掲載)


前回に引き続き法人設立と消費税について説明を続ける。


5.ケース例


下記(1)、(2)のケース別に消費税の納税義務がどのように違ってくるかを検討してみた。
(1)これから新しく事業を始める場合
(2)既に行っている個人事業を法人化する場合


これから新しく事業を始めようと考えている方、既に個人事業を行っているが今後法人化を検討している方は、ご自分の事業に当てはめて考えていただきたい。




(1)これから新しく事業を始める場合
事業を始める場合、個人事業としてスタートするか最初から法人を設立するかの選択肢があるが、消費税の納税義務については下記のように異なってくる。


(イ)個人事業として始める場合
1年目(平成18年)・・・納税義務なし(∵基準期間(2年前)の課税売上高がない)
2年目(平成19年)・・・納税義務なし(∵基準期間(2年前)の課税売上高がない)
3年目(平成20年)・・・2年前の課税売上高>1000万円→納税義務あり
             2年前の課税売上高≦1000万円→納税義務なし


(ロ)資本金1000万円未満の法人を設立して事業を始める場合
第1期(平成18年度)・・・納税義務なし(∵基準期間(前々期)が存在しない)
第2期(平成19年度)・・・納税義務なし(∵基準期間(前々期)が存在しない)
第3期(平成20年度)・・・前々期の課税売上高>1000万円→納税義務あり
              前々期の課税売上高≦1000万円→納税義務なし


(ハ)資本金1000万円以上の法人を設立して事業を始める場合
第1期(平成18年度)・・・納税義務あり(∵新設法人の特例により、自動的に納税義務が生じる)
第2期(平成19年度)・・・納税義務あり(∵新設法人の特例により、自動的に納税義務が生じる)
第3期(平成20年度)・・・前々期の課税売上高>1000万円→納税義務あり
              前々期の課税売上高≦1000万円→納税義務なし


(2)既に行っている個人事業を法人化する場合

(イ)資本金1000万円未満の法人を設立して事業を始める場合
第1期(平成18年度)・・・納税義務なし(∵基準期間(前々期)が存在しない)(注)
第2期(平成19年度)・・・納税義務なし(∵基準期間(前々期)が存在しない)(注)
第3期(平成20年度)・・・前々期の課税売上高>1000万円→納税義務あり
              前々期の課税売上高≦1000万円→納税義務なし


(注)法人を設立すれば基準期間(前々期)が存在しないため、平成18年度、19年度において消費税の納税義務はない。
一方法人を設立せずにそのまま個人事業を続けた場合には、2年前(平成16年、17年)の個人事業の課税売上高が1000万円超か否かで消費税の納税義務を判定する。そのため2年前(平成16年、17年)の個人事業としての課税売上高が1000万円を超えていれば、平成18年、19年において個人事業として消費税の納税義務がある。


つまり状況によっては、個人事業を法人化することによって消費税の納税義務を2期間免れることが起こりうるのである。


(ロ)資本金1000万円以上の法人を設立して事業を始める場合
第1期(平成18年度)・・・納税義務あり(∵新設法人の特例により、自動的に納税義務が生じる)
第2期(平成19年度)・・・納税義務あり(∵新設法人の特例により、自動的に納税義務が生じる)
第3期(平成20年度)・・・前々期の課税売上高>1000万円→納税義務あり
              前々期の課税売上高≦1000万円→納税義務なし




6.考察
上記例で見たとおり、個人事業者が資本金1000万円未満の法人を設立することによって、消費税の納税義務を2期間免れることができる場合がある。個人事業と法人は全く別人格であるので、個人事業における売上と法人の売上とは全く別物と考えるためである。
消費税の納税義務がある個人事業者の方は、この点を検討してもよいのではないだろうか。


7.さいごに
新会社法施行前において株式会社(特例株式会社を除く)は資本金が1000万円以上必要であったため、株式会社を設立した場合には設立第1期から消費税を納めなければならなかった。
一方、資本金1000万円未満の有限会社については設立第1期、第2期は消費税の納税義務はなかった。
新会社法施行後においては資本金規制が撤廃されたため、資本金が1000万円以上か否かで納税義務の有無を判定する現行の消費税法の基準が特異であると考えられる。
資本金が1000万円未満の法人について優遇されている(と言える)現在の消費税法の規定は、近い将来すべての法人について設立第1期から消費税の納税義務が課されるようになることも起こり得るのではないかと懸念する。


逆に言えば法人化を検討している個人事業主の方は、消費税の観点のみで見れば、現在の税制のうちに資本金1000万円未満の法人を設立すると消費税のメリットを享受できる可能性がある(ただし既存の会社を合併・分割した場合等においては、たとえ資本金が1000万円未満の法人を設立した場合であっても、設立初年度から消費税の納税義務が課される場合もあるので注意したい)。


前回及び今回のコラムでは消費税の観点から法人化のメリットを紹介したが、法人設立を検討するにあたっては税金面だけでなく経営面、労務面など判断すべきポイントは非常に多い。単に税務メリットのみに固執することなく多方面から検討を重ね、最終的には専門家に相談することを強く勧めたい。









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投稿者 hasimoto : 12:23 | コメント (0)

法人設立と消費税その1

(新日本法規出版社-「e-hoki」内に掲載)

1.はじめに
 


周知のとおり新会社法が平成18年5月1日に施行され、法人を設立するにあたっては法律上、資本金が不要になった。資金面・法務面など様々な側面から法人設立が容易になったことに伴い、法人の設立が非常に増えている。

 税金面に関して言えば、安易な節税目的から設立される同族会社については、「実質一人会社のオーナー役員に対する役員給与の一部損金算入制限」(前回コラム参照)により、法人設立による節税メリットは大幅に薄れることになったのであるが、それでもなお法人化による税務メリットを享受するケースは多い。
中でも消費税に関しては、法人を設立すれば大きな税務メリットを享受するケースが考えられる(個人事業者から法人設立の相談を受ける場合、実はこの点についての相談が非常に多い)。
さて消費税に関してどんなメリットがあるのだろうか?


2.消費税の納税義務者



 現行の消費税法において消費税を納めなければならない者は次のように定められている。

「事業者(個人事業者及び法人を指す)は、国内において行った課税資産の譲渡等につき、消費税を納める義務がある」(消費税法5条)
「ただし事業者のうち、その課税期間に係る基準期間における課税売上高が1000万円以下である者については、その課税期間中に国内において行った課税資産の譲渡等につき、消費税を納める義務を免除する」(消費税法9条)

 上記条文を読みやすく説明すると下記のとおりである(以下、法人の事業年度は1年として説明する)。

○ 個人事業者の場合、基準期間(2年前)の課税売上高が1000万円を超えていれば、今年において消費税の納税義務が発生し、今年の課税売上高に対する消費税を納めなければならない。
逆に2年前の課税売上高が1000万円以下ならば、今年において消費税の納税義務はなく、今年の課税売上高に対する消費税を納める義務はない。


○ 法人の場合、基準期間(前々期)の課税売上高が1000万円を超えていれば、今期において消費税の納税義務が発生し、今期の課税売上高に対する消費税を納めなければならない。
逆に前々期の課税売上高が1000万円以下ならば、今期において消費税の納税義務はなく、今期の課税売上高に対する消費税を納める義務はない。


3.法人設立時の留意点



法人を設立する場合、消費税に関しては下記の点に注意して設立を検討すべきである。

(1)法人設立時の消費税 ― 原則的取扱い
法人を設立した場合、設立第1期・第2期については基準期間(以下、前々期と表現する)が存在しない。前々期の課税売上高が存在しないため、設立第1期・第2期においては課税売上高がいくらあろうとも、消費税を納める義務はない。


(2)法人設立時の消費税 ― 新設法人の特例
ただし資本金が1000万円以上の法人については、前々期の課税売上高が存在しないにもかかわらず、設立第1期・第2期において消費税を納めなければならない(第3期以降は前々期の課税売上高が1000万円を超えるかどうかで納税義務の有無を判定する)。


要約すると、下記のとおりである。

○資本金1000万円以上の法人を設立した場合、設立第1期から消費税を納めなくてはならない。

○資本金1000万円未満の法人を設立した場合、設立第1期・第2期は消費税を納める義務はない。

 法人を設立する場合、資本金が1000万円以上の法人か否かによって、消費税の納税義務判定が異なるので注意が必要である。



4.前半まとめ 


資本金1000万円未満の法人を設立すれば、設立後2期間は消費税を納める義務がない(一部例外を除く)。
この点に着目し、次回はケース別の法人設立時における消費税納税義務の具体例を見ていきたい。



(追記)法人設立時においては、多額の設備投資が行われる場合や、売上よりも費用のほうが多いケースが多数見受けられ、このように受け取った消費税よりも支払った消費税のほうが多い場合には、消費税の還付を受けることができる場合がある。
消費税の還付を受けるには、消費税法上の「課税事業者」になっておかなければならないため、法人設立前に出来る限り消費税のシミュレーションをしておくことが必要である。
資金計画・利益計画とともに、消費税についても事前に検討しておくことをお勧めする。






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投稿者 hasimoto : 12:22 | コメント (0)

贈与における「著しく低い価額」

Ⅰ.事例

(前提条件)
・父と子がそれぞれ賃貸マンション(父所有マンションA、子所有マンションBとする)を保有している。
・マンションAの時価は3,000万円、マンションBの時価は2,600万円である。
・マンションA、Bの敷地部分・建物部分の時価の差額はともに20%以内であり、所得税法上の等価交換の要件を全て満たしている。
(注)「時価」の概念及び「時価」を何に基づいて算定するかについては本稿では割愛する。

(事例)
 父と子は所有マンションを交換した。
なお交換にあたって時価差額の金銭の授受は行わなかった。

(補足)
・父と子はお互い金銭の授受はしなくてよいとの確認はした(お互い等価であることを了承した)が、マンションの客観的な市場取引金額は算定ができ、それによれば時価の差額があることは明らかであった。
・父はマンションBを、子はマンションAをそれぞれ取得したいと考える理由がある一方、実際には高齢である父の相続財産が減少するので相続税対策にもなるという理由もないわけではなかった。


Ⅱ.税務上の取り扱い

1.所得税
所得税法上の等価交換制度を利用して確定申告をすれば、交換差金の授受がなければ譲渡所得税・住民税は課税されない。


2.贈与税
 (1)考え方
次の2通りの考え方が想定される。
(A説) 子は父へ2,600万円のマンションを渡し父から3,000万円のマンションをもらっている。よって子は父から差額400万円相当の利益を得ていると考えられるため、子へ400万円に対する贈与税が課税される。
(B説) 子は父から価値の高いものをもらっているが、著しい価値の差はないので贈与税は課税しなくて差し支えない

(2)課税の根拠
上記事例において贈与税が課税される根拠は相続税法7条の規定である。

(相続税法7条―贈与又は遺贈により取得したものとみなす場合)
著しく低い価額の対価を得て財産の譲渡を受けた場合においては当該財産の譲渡があつた時において、当該財産の譲渡を受けた者が、当該対価と当該譲渡があつた時における当該財産の時価との差額に相当する金額を、当該財産を譲渡した者から贈与により取得したものとみなす(一部省略)。

また、補足として国税庁タックスアンサーに次の説明が紹介されている。
著しく低い価額の対価であるかどうかは、個々の具体的事案に基づき判定することになります。法人に対して譲渡所得の基因となる資産の移転があった場合に、時価で譲渡があったものとみなされる「著しく低い価額の対価」の額の基準となる「資産の時価の2分の1に満たない金額」により判定するものではありません。
 また、時価とは、その財産が土地や借地権などである場合及び家屋や構築物などである場合には通常の取引価額に相当する金額を、それら以外の財産である場合には相続税評価額をいいます。

   上記内容を要約すると次のとおりとなる。
  ・ 「著しく低い価額」の取引であれば贈与税が課税される。
  ・ 「著しく低い価額」の取引でなければ贈与税は課税されない。
  ・ 「著しく低い価額」であるかどうかは、個々の具体的事案に基づき判定する。


(3)本案件の判断
    「著しく低い価額であるかどうかは個々の具体的事案に基づき判定する」との説明に基づくと
本案件については明確な結論を出すことはできないが、納税者側の立場に立って考えると、個人的には次の準備を行ったうえで贈与税は課税しなくて差し支えないという見解を取りたいと考えます。
   ・「時価」は異なるもののお互いが合意するに至った経済的合理性のある理由を考えておく
  ・「時価」の取り方は様々であるため、できる限り取引が等価に近くなる「時価」の算定根拠を前もって準備しておく








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贈与をするときは証拠を残そう

一年間に110万円までの贈与については贈与税がかかりません。
これをうまく利用して毎年少しずつ子供に財産を贈与していらっしゃる方も多いかと思います。
最近はマネー雑誌等でも「贈与をする場合の注意」が紹介されていますが、贈与を巡る税務上のトラブルが多いのも事実です。


そこで贈与をする場合には、税務上問題が起こらないように次のことに注意しましょう。


①贈与証書を作る
 贈与は本来口約束でも成り立つ行為なのですが、税務調査などにおいては証拠書類が必要になってきます。
 あげた側(例:親)ともらった側(例:子)の意思表示を書面で残しておきましょう。


②印鑑・通帳はもらった人が管理をする
 あげた人(親)が通帳等を管理していた場合、子供へ贈与はされていなかったとみなされるリスクがあります。
 この場合は贈与したにもかかわらずその財産は親のものとみなされ、相続が発生した場合には親の相続財産に含まれてしまいます。

 
この「贈与したにもかかわらず、贈与していないとみなされる預金」のことを一般的に「名義預金」といいます。
「名義預金」は相続税調査のときに最も注意して見られます。その結果調査において一番発見されやすい財産でもあります。


(結論)
「名義預金」とみなされないように贈与を行った証拠は正しく残しておきましょう。


(注)表現は簡潔に済ませている部分があります。不明な点がありましたら御連絡ください。








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投稿者 hasimoto : 12:20 | コメント (0)

鳩山首相の贈与税問題

(新日本法規出版社-「e-hoki」、内にて連載中)


1.はじめに
鳩山首相の偽装献金問題が連日ニュースとなっており、その中で母親から提供を受けた資金が税務上の「贈与」にあたるのか「貸付」にあたるのかについて一時議論がされていました。


2.問題の経緯
問題の経緯は新聞報道によると次のとおりです。
鳩山首相の母親は、鳩山家の資産管理会社「六幸商会」(東京都港区)が管理する自分名義の口座から、ここ数年間で約30~36億円を引き出して現金化し、2004年から2008年の5年間にわたってそのうち約9億円が鳩山氏側に渡っていた。この現金を受け取ったとされる元公設第一秘書(収支報告書に虚偽記載をしたとして解任)は、この資金については「贈与」ではなく「貸付金」であると主張。
ただしその後の報道によると、首相側は「贈与」であることを認め、修正申告の準備に入っているようです。


3.贈与か貸付か
「贈与」か「貸付」かは、事実関係に基づいて総合的に判断され、税務上の判断が難しい場合もありますが、概ね次の点に着目して判断します。

ポイント1: 返済しているか?

受け取った資金を返済していない場合は、受け取った資金全体が「贈与」であると認定される可能性が高くなります。また、受け取った者にその資金を返済する能力・資力がない場合も、受け取った資金全体が「贈与」であると認定される可能性が高くなります。
要は借りたのなら実際に返している、もしくは返すことができることを立証しなければならないということです。

ポイント2: 利息を支払っているか?

利息を支払っていれば「贈与」ではなく「貸付」であると主張しやすくなります。
一方利息を支払っていなければ、税務上は通常支払うべき利息相当額を「贈与」と認定します。
よって利息を支払っていないというだけでは必ずしも全体が「贈与」になるというわけではありません(状況によっては全体が「贈与」と認定される場合もある)が、「貸付」という形式をとるのであれば、利息は支払うべきであると考えます。

ポイント3: 借用書を結んでいるか?

借用書がなければ必ずしも「贈与」になるというわけではありませんが、当事者間だけでなく第三者(例えば税務調査)に対して事実関係を立証するためにも借用書は準備しておくべきだと考えます。


4.税務上の見解
鳩山首相の例は新聞報道のとおりだとすると、仮に本人がその事実を知らなかったという特殊な事情があるとしても税務上は「贈与」であると判定せざるを得ません。

(参考―国税庁タックスアンサー及び相続税法基本通達より)
No.4420 親から金銭を借りた場合
 親と子、祖父母と孫など特殊関係のある人の相互間における金銭の貸借は、その貸借が、借入金の返済能力や返済状況などからみて真に金銭の貸借であると認められる場合には、借入金そのものは贈与にはなりません。
 しかし、その借入金が無利子などの場合には利子に相当する金額の利益を受けたものとして、その利益相当額は、贈与として取り扱われる場合があります。
 なお、実質的に贈与であるにもかかわらず形式上貸借としている場合や「ある時払いの催促なし」又は「出世払い」というような貸借の場合には、借入金そのものが贈与として取り扱われます。
(無利子の金銭貸与等)
9-10 夫と妻、親と子、祖父母と孫等特殊の関係がある者相互間で、無利子の金銭の貸与等があった場合には、それが事実上贈与であるのにかかわらず貸与の形式をとったものであるかどうかについて念査を要するのであるが、これらの特殊関係のある者間において、無償又は無利子で土地、家屋、金銭等の貸与があった場合には、法第9条に規定する利益を受けた場合に該当するものとして取り扱うものとする。ただし、その利益を受ける金額が少額である場合又は課税上弊害がないと認められる場合には、強いてこの取扱いをしなくても妨げないものとする


5.さいごに
贈与税の課税漏れは、相続発生時や不動産の売買・名義変更時など特殊な場合でない限り、一般的には発見されにくいようです。しかし贈与と認定された場合、贈与税は非常に高額になることが多いため、一般の方も今回の事件を参考にして贈与税には充分注意すべきだと思います。





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投稿者 hasimoto : 12:19 | コメント (0)

欠損金の繰り戻し還付制度の注意点

(新日本法規出版社-「e-hoki」、内にて連載中)


Ⅰ.はじめに
欠損金の繰り戻し還付制度はこれまでも制度としては存在していましたが、平成4年以降一部の場合を除き、その適用は停止されていました。しかし昨今の不況を反映して、欠損金の繰り戻し還付制度が復活することとなりました。
これにより前期は黒字であり法人税を支払っていた中小企業が当期において赤字に転落した場合、前期において支払った法人税の還付を受けることが可能となりました。


Ⅱ.欠損金の繰り戻し還付制度の内容
青色申告書を提出している内国法人(今回の改正により資本金1億円以下の中小企業者等が適用対象に加えられました)は、申告書の提出と同時に納税地の所轄税務署長に対し、平成21年2月1日以後に終了する各事業年度において発生した欠損金額に対して、下記の算式で計算した金額に相当する法人税の還付を請求することができます。

○ 還付請求法人税額
=還付所得事業年度(欠損金額が生じた事業年度の前事業年度)の法人税額×(欠損事業年度の欠損金額/還付所得事業年度の所得金額)
(注)欠損事業年度の欠損金額は、還付所得事業年度の所得金額を限度とします。

簡単に言えば、
「前期は黒字であり法人税を支払っていた中小企業が当期において赤字に転落した場合、前期において支払った法人税(の一部)の還付を受けることができる」ということです。


Ⅲ.地方税(住民税・事業税)の取り扱い
上記の欠損金の繰り戻し還付制度は法人税に関してのみであり、地方税において還付は認められていません。
ただし還付を受けることはできませんが、申告書上において必要事項を記入することにより、当期に発生した欠損金額を翌年以降へ繰り越すことができます。


Ⅳ.税務調査の可能性
税務署長は、還付請求書の提出があつた場合には、その請求の基礎となった欠損金額その他必要な事項について調査し、その調査したところにより、その請求をした内国法人に対し、その請求に係る金額を限度として法人税を還付し、又は請求の理由がない旨を書面により通知する(法80条6)。

条文上は調査が行われるように記載されていますが、必ずしも税務職員が会社へ訪問する形の実地による税務調査が行われるわけではありません。
ただし実地による税務調査が行われることも多く想定されるため、繰り戻し還付を行う場合は、税務調査のことも念頭においたほうがよいでしょう。


Ⅴ.「繰り戻し還付」と「繰越控除」
1.「繰り戻し還付」と「繰越控除」制度の違い
税務上において赤字(欠損金)が発生した場合、「繰り戻し還付」と「繰越控除」の二つの制度があり、青色申告法人はどちらかを選択することができます。制度の違いを簡単にまとめると次のようになります。


(1)「繰り戻し還付」
○ 前年に支払った法人税を還付請求します(住民税、事業税は還付できず、翌年以降7年間マイナス分を繰り越します)
○ 税務署において詳細にチェックがなされます(場合によっては税務調査があります)


(2)「繰越控除」
○ 還付を受けることはできません(法人税、住民税、事業税ともに翌年以降7年間マイナス分を繰り越します)
○ 7年経過後においてマイナスが解消されなければ、そのマイナスは切り捨てられることになります


2.「繰り戻し還付」と「繰越控除」選択のポイント
前期は黒字であり法人税を支払っていた中小企業者等が当期において赤字に転落した場合、これまではマイナス分を将来の所得と相殺するために「繰越控除」をするしか方法がありませんでしたが、今後は「繰越控除」をするか「繰り戻し還付」を受けるかの判断が必要になります。判断が必要な場合は、例えば次のような点を考慮して判断していただきたいと思います。


○中長期的に利益が出そうにない場合・・・
「繰り戻し還付」を受けたほうがよいでしょう。
特に長期(7年以上)において黒字化が見込めないようであれば、今後マイナス分を取り戻す機会がなくなるため、当期において「繰り戻し還付」を受けるべきでしょう。


○少しでも当面の資金繰りをよくしたい場合・・・
「繰り戻し還付」を受けたほうがよいでしょう。
還付を受けることができれば資金繰りが改善されるため、「繰り戻し還付」を受けるメリットは大きいと思われます。資金繰りが厳しい企業はまず手元資金及び当面の資金繰りを優先して考えるべきでしょう。


○上記以外・・・
還付金額を計算し、一方で税務調査の可能性のことも踏まえて、両方の制度を比較・検討して決めてください。


3.補足
前提条件が同じであれば、長い目で見ると「繰越控除」「繰り戻し還付」ともに大きな違いはない(今期還付を受けるか、将来の税金を減らすかの違い)ですが、早い段階で還付を受けることができるのは制度としては魅力がありますし、経営者としても早期に還付を受けたいと考えるのが普通だと思います。しかし税務調査の可能性が高くなることに過剰に反応してしまう「税務署嫌い」の経営者の方が多いのも事実です。
両制度のメリット・デメリットを理解して、どちらを選ぶか検討していただきたいと思います。





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投稿者 hasimoto : 12:18 | コメント (0)

役員給与の減額改定

(新日本法規出版社-「e-hoki」、内にて連載中)


1.はじめに

世界的な経済の減速・景気の悪化に伴って多くの企業の業績は悪化し続けており、上場企業をはじめとして中小企業においても役員給与を減額する会社が続出しています。


役員給与は本来毎月定額で支給しなければならず、期の途中で金額を改定した場合には、改定前後における差額に相当する金額は法人税法上経費として認められない、というのが原則でした。
しかしその一方で業績が著しく悪化した場合など一定の要件・基準を満たしている場合においては、期の途中で金額改定を認めるという取り扱いになっています。ただしその要件・基準は明確でない部分も多く、また税務調査において役員給与は厳格にチェックされるケースも多かったことから、実務上において役員給与を期の途中で改定して問題がないかどうか判断に迷うケースが多々ありました。
そこで判断基準をより明確にするために、役員給与を改定できる場合の基準が国税庁から公表されましたので紹介します。


2.役員給与の規定

(原則)
役員給与はその事業年度を通して定期同額でなくてはならず、期の途中で役員給与の金額を改定すると、改定前後の差額に相当する金額については、法人税法上経費として認められません。
ただし次の場合においては期の途中での役員給与の改定が認められています。


(期の途中での改定が認められる場合)
(1)通常改定事由
事業年度開始の日から3ヶ月以内の給与の改定


(2)臨時改定事由
役員の職制上の地位の変更や職務内容の重大な変更に基づく給与の改定


(3)業績悪化改定事由
経営状況が著しく悪化したことその他これに類するやむを得ない事情による給与の改定

3.今回公表された「業績悪化改定事由」の例示

「業績悪化改定事由」について、判断基準として次の具体例が示されました。


(1)株主との関係上、業績や財務状況の悪化についての役員としての経営上の責任から役員給与の額を減額せざるを得ない場合


(2)取引銀行との間で行われる借入金返済のリスケジュールの協議において、役員給与の額を減額せざるを得ない場合


(3)業績や財務状況又は資金繰りが悪化したため、取引先等の利害関係者からの信用を維持・確保する必要性から、経営状況の改善を図るための計画が策定され、これに役員給与の額の減額が盛り込まれた場合


(4)上記以外の事例であっても、経営状況の悪化に伴い、第三者である利害関係者との関係上、役員給与の額を減額せざるを得ない事情があるときには、減額改定をしたことにより支給する役員給与は定期同額給与に該当すると考えられる。ただしこの場合、役員給与の額を減額せざるを得ない客観的な事情を具体的に説明できるようにしておく必要がある。


上記の場合に該当すれば期の途中で役員給与を減額しても、減額前給与・減額後給与ともに法人税法上経費として認められます。
逆に上記の場合に該当しない改定については、役員給与の額のうち減額前後における差額に相当する金額については、法人税法上経費として認められなくなり、課税所得が増えることになります。


4.実務上のポイント

実務上、最も重要なポイントは上記(4)であると考えます。

顧問税理士によって見解が変わってくるものと思われますが、私見では
○ 減額理由をきちんと説明できること
○ 客観的な根拠資料を残すこと
さらに
○ 利益調整ではないこと
を説明しうる客観的な根拠資料が準備できれば、役員給与の減額は多くの場合において認められるものと考えます。


特に最近数ヶ月において業績悪化に伴い、期の途中で役員給与を下げたいという相談が多発していますが、私見では、再建計画を立てることができるのであれば積極的に期中減額を行って経営を立て直すべきであると考えます。


経営者の目線から最重要として考えることは「税法」のことではなく「経営」のことです。税理士の目線から「税法」を遵守することは当然のことなのですが、期中改定の判断が付きづらい場合においても、現在の景気情勢において会社を生き延びさせるためには経営上の判断を最優先し、会社も、税理士も、そしてもちろん税務行政も、柔軟に対応すべきであると考えます。


いずれにせよ国税庁が業績悪化事由について柔軟な姿勢を示していることは間違いありません。
最終的には顧問税理士と相談をして判断していただきたいと思いますが、役員給与を期の途中で減額する場合には、
○ 減額理由をきちんと説明すること
○ 客観的な根拠資料を残すこと
さらに
○ 利益調整ではないこと
を客観的に説明できるように万全の準備をしてください。





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投稿者 hasimoto : 12:17 | コメント (0)

平成23年度税制改正の行方

1.はじめに

 本日この原稿を書いているのが4月9日であり、3月11日に発生した東北関東大震災が起きてから1ヶ月が経とうとしています。震災発生直後の混乱状態は少しずつ収まりつつありますが、これから日本全国が力を合わせて復旧活動に取り組んでいかなければなりません。

2.税制改正の行方
 元々本年の税制改正はねじれ国会の影響で期限内に改正が成立するかどうか先行きが不透明だったのですが、地震の影響も重なって3月31日までに改正が成立しませんでした。よって現時点では税制改正は成立しておりませんし、いつ改正が可決され、施行されることになるのかも決まっておりません。

○ 棚上げ状態になっている主な税制改正内容

(1)法人税関係
・法人税率の引き下げ(本則22%→19%、中小法人特例18%→15%)
・減価償却制度の見直し
・繰越欠損金の引き継ぎ制限

(2)所得税関係
・給与所得控除の見直し
・退職所得控除の見直し
・成年扶養控除の見直し

(3)相続税・贈与税関係
・基礎控除の引き下げ
・保険金の非課税制度の見直し
・相続税率・贈与税率の変更
(注)前回コラムで取り上げた内容も現時点では未だ成立しておりません。

 一方平成23年3月31日で期限切れを迎えてしまう租税特別措置法については、「国民生活等の混乱を回避するための租税特別措置法等の一部を改正する法律案」、「国民生活等の混乱を回避するための地方税法の一部を改正する法律案」(いわゆるつなぎ法案)が3月31日に成立、4月1日から成功されました。
とはいえこのつなぎ法案は現行の税制を3ヶ月間延長するもの、つまり平成23年3月31日に適用期限を迎える全ての租税特別措置法の適用期限を平成23年6月30日まで延長するという内容のものですので、その先どうなるかについては不透明なままといってよいでしょう。

○ つなぎ法案により6月30日まで延長された主な内容

(1)法人税関係
・中小法人に対する軽減税率の特例
(注)なお平成23年度税制改正では中小法人の軽減税率をさらに15%へ下げる案でしたが成立の見通しは立っておりません。
・試験研究費の税額控除の上乗せ措置

(2)登録免許税関係
・住宅用家屋の所有権の保存登記等の税率軽減

(3)印紙税関係
・不動産の譲渡に関する契約書等に係る印紙税の税率の特例


3.今後の見通し
 今回の地震による日本経済に対する影響は計り知れないものであり、経済的損失規模は数兆円とも数十兆円とも言われています。
それに伴い税収も当然必要となってくるため、たとえば日本経団連の会長が「法人税の減税は行わずに復興財源に充ててほしい」という意見を出したように、減税に伴う改正内容については新たに議論が加えられ減税改正案はそのまま可決されない可能性もあるでしょう。
また復興財源を賄うために、所得税の定率増税や消費税の増税、子ども手当の廃止など財政を確保するための案も各種出され始めているようです。
いずれにしろ今後の税制については注意深く注視していく必要があります。


4.参考―寄付金税制
(1)個人が支出する寄附金(義援金)の取り扱い
 寄附金控除(所得金額の40%又は寄附金の額のいずれか少ない方の金額から2千円を控除した金額を所得から控除する。)の対象となります。

(2)法人が支出する寄附金(義援金)の取り扱い
 全額が損金算入の対象となります。


東北地方へ向けて日本全国から寄付が集まっています。
それに伴い国税局では寄付に関する税制のFAQ(義援金に対する取り扱い)をホームページで公開しましたのでご紹介します。
(募金団体を通じた義援金等に係る税務上の確認手続きについて)
http://www.nta.go.jp/sonota/sonota/osirase/data/h23/gien/index.htm
(義援金に対する税務上の取り扱いFAQ)
http://www.nta.go.jp/sonota/sonota/osirase/data/h23/jishin/gienkin/gien_faq.pdf






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