平成22年度税制改正(その2)

(新日本法規出版社-「e-hoki」、内にて連載中)


Ⅰ.はじめに 
前回に引き続き、本稿では主に資産税関係の改正を取り上げます。


Ⅱ.主な改正内容
1.住宅取得等資金贈与
住宅取得資金の贈与を受けた場合の非課税措置が次のとおりとなります。適用要件として、贈与を受ける者の合計所得金額が2000万円以下であることなど種々の制約があるので注意しなければなりません。


(1)暦年課税の場合
平成22年中の贈与・・・非課税限度額1,500万円(現行500万円)
平成23年中の贈与・・・非課税限度額1,000万円(現行500万円)


(2)相続時精算課税の場合
平成22年中の贈与・・・4,000万円まで贈与税非課税(通常の2,500万円+追加1,500万円)
平成23年中の贈与・・・3,500万円まで贈与税非課税(通常の2,500万円+追加1,000万円)
(注)現行の特別控除の上乗せ特例(現行1,000万円)は廃止されます。


(改正の影響)
住宅取得に限定されますが、世代間の財産移転(贈与)が行いやすくなり、住宅取得を促進する一つの刺激策になるものと思われます。


2.小規模宅地等課税特例
小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算について次の変更が行われます。

(1)相続人等が相続税の申告期限まで事業又は居住を継続しない宅地等(現行200㎡まで50%減額)を適用対象から除外します。

(2)一の宅地等について共同相続があった場合には、取得した者ごとに適用要件を判定します。

(3)一棟の建物の敷地の用に供されていた宅地等のうちに特定居住用宅地等の要件に該当する部分とそれ以外の部分がある場合には、部分ごとに按分して軽減割合を計算します。

(4)特定居住用宅地等は、主として居住の用に供されていた一の宅地等に限られることを明確化します。

(改正の影響)
◇現行では相続税の申告期限まで事業又は居住を継続しなくても50%減額の小規模宅地特例を受けることができましたが、改正後は減額が認められなくなるため、特に相続開始後や遺産分割時において、今後どのように引き継いだ財産を使用していくか、税金を加味したプランニングが今まで以上に重要になります。
◇現行では共有で財産を相続した場合、適用要件を満たしていない相続人についても小規模宅地特例の優遇を受けることができるケースがありましたが、改正後は取得した者ごとに適用要件を判定するため、小規模宅地特例の適用がより厳格化されます。

◇現行では一棟の建物の敷地のうちの一部が特定居住用宅地(例:マンション一棟全体を所有し、その一室に住み、残りを賃貸しているケース)に該当すれば、全体が特定居住用宅地と認められていましたが、改正後は部分ごとに按分して軽減割合を計算しますので、小規模宅地特例の適用がより厳格化されます。

◇小規模宅地特例を利用した節税が狭められることになりますので、遺産分割時における税金面でのプランニングの考え方が変わることになります。


3.定期金に関する権利の評価
 定期金に関する権利の相続税及び贈与税の評価について、次の変更が行われます。

(1)給付事由が発生している定期金に関する権利の評価額は、次の(イ)~(ハ)のうちいずれか多い金額とする。
(イ)解約返戻金相当額
(ロ)定期金に代えて一時金の給付を受けることができる場合には、当該一時金相当額
(ハ)予定利率等を基に算出した金額

(2)給付事由が発生していない定期金に関する権利の評価額は、原則として「解約返戻金相当額」とする。


(改正の影響)
現行の定期金の権利評価は相当圧縮された評価方法となっており、実態とは乖離した非常に有利な低い評価となっていました。改正後は「解約返戻金」を基準として評価することから実態に即した評価となり、相続税の節税手法の一つが規制されることとなります。


Ⅲ.さいごに

本年の資産税に関する改正は、世代間の財産移転を行いやすくする一方で、これまで相続税対策として有効であったいくつかの手法を規制するものとなっています。
相続税対策を検討する必要がある場合は、「より有利になるように」検討することはもちろんですが、「税法は今後も状況に従って変更する可能性がある」ということを念頭に入れ、今後の対策を検討していただきたいと思います。





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